A
MAGAZINE
OF
XKD

1982年12月発行
通巻2号


目次

1.目次
2.QRPパワーメーター
3.電源(1)
4.映像通信特集(1)
5.電子回路設計の手引
6.EDITORの独言
2−1
2−1
2−2
2−3
2−5
2−7

QRPパワーメーター(1)

 QRPパワーメーターとは何でしょうか?
なんて言ったら頭のいいみなさんは悩むと思
います。人間、誰でも知ってるつもりのこと
についてわkざわざ聞かれると悩んでしまうも
のです。
 それでは質問を換えましょう。QRPとは
なんですか?「はい、小電力のことです。」
これでは80点しかあげられません。なぜな
ら小電力とは何W位かがわからないからです。
正解は?………というと、これはありません。
アメリカでは5WでもQRPなのです。日本
でも10Wでも十分QRPだというQRO派も
いれば 0.1WでもQROだ!というOMさん
達(この人達をQRPに対してQRPp派と
呼ぶ)もいます。
 ではQRPメーターは何に使えるので
しょうか? 答→QRPリグのパワーをはか
る。自作機の局発レベルを調べるなど、各部
の調整をする。無線機の修理につかう。etc.
便利なものですまた無線機の自作をする時、
あると大変役に立つものです。
 QRPパワーメータは、以前FCZと初
ラに載ったことがあります。ただ、この二つ
とも回路図や使用部品に不満があります。そ
こで私は独自の回路開発に臨みました。
 作るにあたり、ブロックダイヤグラム
 パワー計に入った電波はダミーロード(2
00Ωの抵抗4本)でほとんどが熱に変換さ
れます。そこでもれた電波をDi(ダイオード)
で検波し、0.01μFのコンデンサで整流して
直流電圧に変換し、メーターをふらせます。
そのあとのVRはメーター用のアッテネータ
ーで、メーターの重さをかえています。
 さて、パワーメーターというのは回路図は
簡単に出来るのです。問題は較正法です(R
Fミリバルなどという高級なものなどをもっ
ていれば問題はないですが)。
 検波に使うISS43という石はショット
キーDiと言って、非常に高速な動作をしま
す。そのため1.9〜144MHzまで同じ値で使
えます。
                 つづく
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映像通信特集

 電話級にもSSTV,ATV,RTTY,FAXな
どの映像通信が可能になりました。今回から
数回にわたってSSTV,RTTY,ATV
についてのお話をします。FAXは機械の
制作が不可能に近い−−というよりは既製品
を改造するしかない−−ので今回はやめまし
た。
 SSTV,RTTYはSSBの帯域で送る
ことができますが、ATVは帯域が9MHz
程度まで広がりますのでUHF(430MHz)
以上でのみATVは許可されています。HF
やVHFでの9MHz幅がどれ位かは想像し
てみて下さい。3.5MHzで9MHzの幅
をとったら………。

RTTY

 RTTY(Radio Tele TYpe)とはその字
のとおり、電波を使って文字を送るシステム
です。これはもともと電電公社がやっていた
もので、昔はアマチュアも公社からの払い下
げ品を使ってやっていたのです。しかし最近
はマイクロコンピューターの発達で、マイコ
ンとトランシーバーとその2つをつなぐ少し
のインターフェース回路によって成り立って
います。もともと公社のものを使ってはじめ
たため、文字符号はそれに準じたものを使っ
ています。RTTYでは一分間に約400字
のデータを送ることができます。いくらCW
を打つのが早い人でも一分間400字は不可
能でしょう。ところがRTTYでは、はじめ
たばかりの人でも一分間400字は簡単に出
せるのです。すごいでしょう。スゴイダロー!
 ところが、このRTTYには致命的な欠点
があるのです。それは混信です。人間の耳な
らば少々ビートがかかっても、パイルアップ
になっても信号を判別することは不可能では
ありません。ところが機械は、こういう混信
も信号として受け取ってしまうのです。こう
なると、ただ目茶苦茶に機械は解読してしま
い、文章にならなくなってしまいます。
 RTTYの文字符号には5単位と6単位の
符号がありますが、国内ではほとんどの局が
5単位の符号で通信をやっています。符号に
ついては諸誌を御覧になればすぐにわかりま
す。(たとえばCQ誌)
 さて、送信機の変調方式ですが、FSKモ
ードのあるトランシーバーでは単に電圧を加
える加えないでRTTYは送信できます。し
かし、FSKモードのないトランシーバー(
SSBonlyなど)では、マイク端子に2125
KHzと2295KHzの低周波を交互に加
えることによりRTTYの波が発射できます。
前者をFSK方式(※1)、後者をAFSK方式
(※2)と言います。
※1 Frequency Shift Keyingの略
※2 Audio Frequency Shift Keyingの略
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SSTV

 SSTV(Slow Scan Tele Vision)
とはFSTV(Fast Scan Tele Vision)
に対してつけられた名前で(FSTVとは私
たちが普段見ているTVのことです)FST
Vが一秒間に30枚もの絵を写すのに対し、
SSTVは8秒間かかってやっと一枚の絵が
写るのです。
 なぜ8秒間もかかるのか?それはこういう
ことなのです。普通のテレビの映像周波数は
最高4.5MHzもあるわけです。この信号
をSSBトランシーバーの帯域3KHzで送
るのにはどうしたら良いかわかりますか?
それは一秒間に30枚もの絵を送ろうとする
からいけないのです。8秒かかって一枚の絵
を送るようにすればSSB送信機でも送れま
す。原理はこういうことなのです。
 では、実際にはどんな絵が送られてくるの
でしょうか。現在、一般的には128×128
ドットで1ドットにつき16段階の濃淡をつ
けるようになっています。128×128ドット
では写真など送れないとお考えになる方もい
るかもしれません。(なにせ最近のマイコンは
640×400ドットのグラフィックはざらです
から。そのグラフィックを使っても写真などは
作れません。)しかし、16段階もの濃淡をつ
けると結構写真になるんですよ。
 それでは、どうやって送信するのでしょう
か?SSB送信機で送るのですから帯域は3
KHz以下にしなくてはなりません。
 一番手っ取り早い方法はMIC端子に色の
濃淡に応じて電圧をかければいいのです。こ
れなら受信機でもMONITOR端子から電
圧が出てきますのでそれを信号としてTVに
写せばよいのです。
 ところがこの方式には簡単にできるかわり
に重大な欠点があるのです。それは雑音に弱
いということです。つまり、雑音の電圧まで
拾ってしまうのです。そこで現在一般的には
色の濃淡を周波数のちがいにしたのが使われ
ています。最も淡い色を2300Hz、最も
濃い色(黒)は1500Hz、同期信号を
1200Hzとしました。
 さて、ここで同期信号と出ましたがこれは
なんでしょうか。例えばテレビの画面が128
×128ドットだったとします。この場合、順
次考査方式ではまず横の128ドットを左か
ら右へ順番に表示します。その次は一段下の
段の128ドットを左から右へ順番に表示し
ていき、同様に走査していき128段目の
128ドットめまで来たら一段目の1ドット
めにもどります。この、表示が一段下に下が
る時や、1ドット目にもどるときに合図を送
るのが同期信号です。
(都合によりATVはCUT)
                 つづく

XKD 2−4


電源のもと

電源3種(1)

実験のとも
 ICを選べば希望の電圧を作れます(一言言
っておきますが7905など79シリーズは
−7V以下を−5VにするICです)。
 その際、トランスの出力電圧は希望電圧以
上のもので、4V以下のものを選んで下さい。
コンデンサC1の耐性はトランスの出力電圧×
1.5倍以上のものでなるべく大容量(1000μF
以上は欲しい)を使用のこと。C2は0.01μF
程度のパスコン。これを抜くと脈流に、C2
を抜くとICが異常発振をします。ダイオー
ドブリッジの耐性はC1の耐圧と同程度のも
のが必要です。
 Diに何を使って良いかわからなければ
WO2というブリッジダイオードを使って下
さい。
整流方法には他にも数種類あります。以下
に述べますと、
                 つづく
 電源!デンゲン!でんげん!DENGEN!
 というわけで、あなたは電源を作れますか?
電源位は簡単ですからこの際に覚えてしまいま
しょう。今回は三端子REG(レギュレター)を
使って簡単に作ってみましょう。

三端子レギュレータ

 三端子REGってしってますか?これは一
種の(というかれっきとした)ICです。こ
のICの中には、ツェナーダイオード、増幅
用トランジスタetc が含まれているのです。
 働きとしては5V1A用のものを例にとっ
て話しますと、入力に6V〜7V以上の電圧
を加えますと出力には安定した5Vが出てき
ます。5Vの他に6V、8V、12V、15V、
18V、24V(最近、9V用のものもたまに見
かける)があります。
 三端子REGのIC番号は78□□となっ
ていて、□□の中に出力電圧が書いてありま
す。例.5V1A用→7805.12V1A
用→7812。
 この他に50mAタイプの78L□□や500
mA用の78M□□、5V5A用の78H05
マイナス電源用の79□□、可変電圧用の7
8GUなどがあります。

−TTL用5V1A実験用電源−
XKD 2−2


電子回路設計法(アナログ)

 アナログ回路ではまず、部品の性質につい
て一つずつ覚えなくてはなりません。しかし、
また、デジタルに応用できることがたくさん
あります。
C.コンデンサ
 交流は通すが直流は通さない。また充電能
 力がある。マイラ、セラミック、タンタル、
 電解、(ディップド)マイカ、フィルム、
 積層etc.
R.抵抗
 流れる電流を制限(決定)したり、抵抗の
 両端で電圧差を作ったりする。カーボン、
 金属皮膜、巻線、セメント、無誘導etc.
Tc.トリマーコンデンサ
 別名Vcバリコンとも言う。C.の可変容
 量型。
VR ボリューム
 Rの可変抵抗値型。
CH チョークコイル
 流れる交流電流を制限したり、交流の電圧
 差を作る。Rの交流専用型。
L コイル

 高周波(RF)でC.と組み合わせて共振周
 波数を作る。目的の周波数だけ通したり、
 発振回路のもとになったりする。
T トランス

 AC100VからAC12Vや6Vを作るのは
 電源トランス。低周波(AF)用に出力ト
 ランス・入力トランスなどがある。
Di.ダイオード
 半導体。A(アノード)からK(カソード)
 にしか電気を通さない。この性質を利用し、
 検波、整流、スイッチングなどに使用。
Tr.トランジスタ




 半導体。B(ベース)に流れ込む電流によ
 ってC(コレクタ)からE(エミッタ)間の
 流れる電流が変化する。
FET.電界効果トランジスタ



 G(ゲート)にかける電圧によって流れる
 電流が変化する。

 主にこれらのものを使います。もし、新しい
い部品が出てきた時には使い方を説明します。

トランジスタ

 トランジスタには大きくわけて“増幅”と
“スイッチング”と“発振”の三つの働きが
あります。まずは簡単なスイッチングから学
んでいきましょう。
 Trは半導体からできています。半導体と
は導体と絶縁体との中間のものです。Diが一
番典型的な半導体です。つまり、A→Kのみに
電気が流れるものをいうのです。このA,K
を普通はP型半導体、N型半導体と言います。
ですからDiは2つの半導体がくっついていて、
Trは3つの半導体がくっついて出来ています。
 PNP型は2SA,2SBタイプでNPN
型は2SD,2SCタイプです。
                 つづく
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デジタル回路

 前回はロジック(論理)について覚えても
らいましたので、今回からは色々な回路を覚
えていただきましょう。今回は発振回路です。
◎クロック(CLOCK−発振機)
 デジタル回路を組む場合に一番多く出てく
るのがこのクロック発振器です。デジタル回
路の場合、クロックがなければ動かないもの
が非常に多いのです。以下に回路の一例。

TTLとCMOS

 TTL(Transistor Transistor Logic)
とは、主にコンピューターなどの高速処理を
必要とするものに使われます。TTLはIC
の番号の頭が"74"となっています。(例:7408)
 これはスタンダードタイプで、他にハイス
ピード(H)、ローパワー(L)、ショット
キー(S)、ローパワーショットキー(LS)
などがあり、普通はLSタイプを使い、特に高
速な反応を必要とされる所にはSタイプを使
います。(例.7408のLSタイプは74LS08)
 TTLは高速で働くかわりに(約30MHz)
C−MOSに比べて消費がはげしく、電源は
5V単一です。
 C−MOS(Complimentary-MOS)
とは、主に消費電力を減らしたいところにつ
かいます。番号はMC14□□□やMC145□□□
などです。しかも、電源は3V程度から16
Vまでと幅広く使えるのですが、動作が遅く、
1MHzまでしか動かないものもある位です。
ですからICでゲームを組む時は、消費の少
ないC−MOSがよく使われます。
 この他に、TTLでしかできない高速動作
やC−MOSにしかできない特殊な仕事(ア
ナログSW、PLLetc)などの関係から、
両方混ぜて使うこともあります。但し、接続
には注意が必要で、ただつないでも働かない
場合が多いのです。
                 つづく

コントロール端子を”H”に
すると発振器動作する。
シュミットトリガーICを
使用。100Hz以下では不安定。

発振周波数は水晶によ
って決定。
Tcで微調整。

VRによって周波数は自
由に可変可能。高安定。
下の図の様にDiを入れる
と単発パルスが出せる。

 以上のような回路が発振回路です(この他
に発振専門のNE555(LM555)とい
うICもあります)。一般的に、抵抗やコン
デンサの値が小さい程、周波数が高くなりま
す。回路がループしていて、CとRが入って
いれば、まず発振器とみて良いでしょう。
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EDITOR

独言

 ろそろ冬休みになりますが(?)冬休
みになりますが、冬休みには実験がたくさん
できますなぁ。んなわけで1月号は少しおく
れます(予告しなくても遅れてたりして。ねっ)
実をいうと、印刷所の関係で年末年始は発行
が遅れるのです。なにせ年末は年賀状で年始
はおやすみ(もっとも12月中旬までに刷り
上げればまにあいますが、そこはそれ怠惰の
虫が)−−何をオッシャルうさぎさん−−遅れ
ます。

 月号がなぜ遅れたかというと表紙のせ
いでして、何を書いたら良いのかわからなか
ったからです。苦労の後の表紙を見てやって
下さい(いかにも白々しい)。

 日、何と、やっとMZ−80(マイコン
ですよ)のコンパチボードが作動しました。
昨日、何気なくテープIFとカセットを強引
にもつないだところ(本当はテープヘッドに
つなげるものなんですが)何と読んでくれた
んですなあ、ベーシックのテープを。今まで唯
一動かなかったテープIF(もっともMZは
これが動かんことには何もできない)が動い
たんです。さっそくBASICのゲームを入
れて(スーパー モンスターというやつ)遊
んだった。制作をはじめてから9ヶ月!!やっ
とMZは大地に立ったのである。(大げさ)
 このMZコンパチの正式名称を発表します。
+++++++MZ−80XKD+++++++でった。
 ナンダ・カンダ言って、やっと独言までた
どりつけた。1日発行というのは名目だけ!
今日原稿が書き終わったとしても、発行は7
日をすぎることは必至。クマッタ、クマッタ。
このごろどうも不思議なのは、この8ページ
(実質的には6ページ)の中に書ける字数の
少ないこと。FCZ誌などをみると、もっと
字がうまっている。不思議大好き

 ういえば(さっきは大文字で書きはじ
めるのを忘れてた)この創刊号をFCZさんに
贈った(というか送ったの送が正しかろう。
なんせ、もらってうれしいものでもなし)と
ころ「ガンバッテ下さい(漢字カナ混り文で
す)」というコメントが伝言で私まで届きま
した(ウッ原始的)。ウレシーナー!!

 ろそろ冬休みになりますが、私は忘年
会がしたい。私の友達には良い子が多いのか
(絶対にそんなことはないと思うが)ドンチャ
ンさわぎの忘年会をやろうと言う奴はいまだ
に見つからんのである。私はふまん。
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